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日本臨床精神神経薬理学会参加記

残念ながら最終日は参加せずに帰阪しましたが、10月1日、2日の二日間はフルに出席して、勉強してまいりました。
ここで全部を書くことはできませんが、主に印象深かった先生の講演や発表を挙げてみようと思います。





1.Naber先生(Hamburg大学)
この先生の講演は2回聞きました。Naber先生はSubjective well-being under Neruorleptic drug treatment(SWN:抗精神病薬治療下主観的ウェルビーイング)という自己評価スケールを考案された先生です。QOL(Quality of Life:生活の質)の評価は非常に大切ですが、以前は統合失調症の患者さんのQOL自己評価は難しいのでは?と思われてきました。しかし実際には急性期の患者さんは確かに困難ですが、寛解期にあり重大な認知機能障害の持たない患者さんでは十分に自己評価できると考えられます。SWNとPANSS(医師による精神症状評価の一つ)の評価スケールでの解離が認められ、精神症状が改善しているということで医師が治療に満足していてもより良く生活するという点においては患者さん自身が満足していないことも多いということを示されておりました。したがって精神症状だけでなく、患者さんのQOLを考え話し合う、つまり「患者さんの視点に立った治療」が大切であるということです。私も今後このSWNS-J(抗精神病薬治療下主観的ウェルビーイング評価尺度-日本語版)を必要に応じて患者さんにつけていただきながら、治療の参考にしていこうと思っています。
あとNaber先生が昔ハロペリドール(定型抗精神病薬)をその不快な副作用のためどうしても服用したがらない患者さんに「先生も飲むなら、私も飲みますよ。」と言われ、先生がその患者さんの薬を服薬され、何とも言えないしんどい気分で辛い週末を過ごされたという話は重みを感じました。

2.Yatham先生(British Columbia大学)
この先生の講演も2回聴きました。双極性障害(躁うつ病)の神経生物学的基盤についてと双極性障害の最近の治療についてのお話でした。いつも海外の先生に治療の話を聞くとわが国での薬物治療の選択肢が少ないことを悲しく思います。あと双極性うつ病の治療において、気分安定剤単剤と気分安定剤と抗うつ薬の併用にその治療効果の統計学的有意差はないという2007年のニューイングランドジャーナルオブメディシンの論文を引用されていましたが、先生は臨床的印象では抗うつ薬の併用の方が効果あるように感じるとの印象も述べておられ、私もそのように感じます。

3.Duman先生(Yale大学)
「A Neurotrophic and Neurogenic Hypothesis of Depression(うつ病の神経栄養および神経因性仮説)」とのテーマで、BDNF(brain-derived neurotrophic factor:脳由来神経栄養因子)やVEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮増殖因子)、IL(Interleukin:インターロイキン)-1βなどに関する話をされておりました。
・ストレスで海馬などの神経新生を抑制し、神経萎縮が起こる
・ストレスでBDNFVEGFなどの発現量が低下するが、低下したBDNFやVEGFは抗うつ薬で増加する
・BDNFをラットに投与すると、行動モデルでの抗うつ効果と神経新生を認める
・ストレスでIL-1βが増加し、神経新生が減少する
それから特に興味を感じたものとして、enrich environment(豊かな良い環境)やexercise(運動)により神経栄養因子の発現が増加し、神経新生が高まり、抗うつ効果をもたらすとの動物実験の話もされていました。
私自身も休日にジョギングをしていますが、減量には今のところ効果は出てません(泣)。しかしうつ病の予防として休日のジョギングは継続しようと思いました(笑)。

あとDuman先生らはVEGFとうつの研究発表を2002年以降から論文で出されていますが、私の尊敬するKサナトリウムのY院長は10年以上前に大学におられる時にラットにインターフェロンなどを投与し、VEGFの発現をみる研究を既にされていたことを思い出しました。うーん、流石です。

うつ病とストレスに関する総説として、三国教授のレビューをご参照下さい。

4.井上先生(北海道大学)
難治性うつ病でのドパミンアゴニスト併用投与(保険適応外)が効果を示すことがあるという話をされておりました。悲しいかな、わが国では現在のところMAO阻害薬やブプロピオンといったドパミンを高める作用のある抗うつ薬がありません。私も実際に十分に改善しきれていないうつ病の患者さんに「ドパミンをもう一押しできないか?」と感じることがあります。

5.橋本先生(千葉大学)
現在開発中の統合失調症治療薬(代謝型グルタミン酸受容体II作用薬、グリシントランスポーター阻害薬、α7ニコチン受容体作用薬)について判りやすく解説されていました。これまでの統合失調症治療薬が開発され半世紀になりますが、ドパミン系を中心として作用する薬ばかりでした。それに加えて上記の薬剤が新たな選択肢となる日も遠くないかもしれません。私見ですが統合失調症という病気は患者さんの脳に起こっている失調はそれぞれ異なるのであろうと思います。ドパミン神経伝達の失調であったり、グルタミン酸神経伝達の失調であったり、セロトニン神経伝達の失調であったり、これらが複雑に組み合わさったり・・・と多種多様であろうと思います。したがってそれぞれの患者さんの病態基盤に合った薬があるはずであると考えています。
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by k_m_c | 2008-10-05 22:31 | 独り言